まさ@アップデートする情シス/@tomatokechap18
本書は、純粋なエンジニアではない事業会社の情シスのマネージャーの視点からみても、とても内容が濃く、たくさんの気付きを与えてくれました。タイトルこそ「無能なITエンジニア」と自分自身を卑下したり、自虐的な内容を想像させますが、全く違います。
本書は、ボンブ氏の過去の失敗や苦い経験、仲間や先輩からの助言や言葉をベースにした「ごく普通のどこにでも居る大多数のITエンジニア」に向けた仕事と人生を豊かにするバイブルだと思いました。
▶︎ 第一印象
「え?269ページもあるの?†1」まずそのボリュームに愕然とした。そしてボンブ氏を舐めていたことを後悔した。もし、退屈な内容だったとしたら…269ページ読み切りさらに感想文を書いて送ると言う、苦痛かつ退屈な時間を浪費してしまう事になるのだ。そんな恐怖心を持ちながら10.4インチの小さなスマホ画面で読みはじめた。
†1 筆者からの補足です。先行者配信したものは「本書に寄せて」が未掲載だったため269ページで構成されていました。
▶︎ 序章を読んで
自分は普段、気合いを入れて読む本は、紙の書籍と決めている。気合いを入れて購入した電子本は一冊もない。
正直、今回の「無能なITエンジニアのための 100の教訓」はノリで申し込んだ。恐らくボンブ氏のブログやコラムの寄せ集めだろう、くらいの先入観だったので、休日に寝転びながらスマホ画面で流し読みするスタイルで読ませてもらった。
序章に目を通した。目的や前提条件、対象読者、用語集、大まかな構成が淡々と書かれている。あれ?技術解説書のようなちゃんとした構成ではないか。
さらに目次を読み進めた時には、コラムのような少し軽めの内容を想像していた先入観は一気に吹っ飛んだ。
▶︎ Ⅰ章を読んで
「私たちの仕事は何でしょう」
第Ⅰ章は、いきなりこの問いかけから始まる。さて、この問いかけに対してどれだけの人やエンジニアがきちんと自分の答えを持っているのだろうか?
ボンブ氏の答えはこれだ。
「私たちの仕事は問題を解決することです」
第Ⅰ章には、世の中の普通のITエンジニアに対する、ボンブ氏の想いと1番伝えたいことが書かれていた。
ボンブ氏は、本書で「世の中にたくさんいる普通のエンジニア」に対し、システム開発や運用と言う業務を通して、仕事や人生の本質について気付きや学びを与えたいのではないか、と思った。
そして、この最初の問いかけとその答えこそ、以降Ⅱ章からⅩ章まで、約250ページにわたる100の教訓のベースとなる考え方なのではないか?と感じとった。
だから、第Ⅰ章は、絶対に読み飛ばさないで欲しい。さらに、1番最初に読んで欲しい。但し、第Ⅰ章には、技術的なことは一切出てこないので、エンジニアの読者の方々は興味を失って読み飛ばしてしまうかもしれない。
▶︎ 最後まで読み切った感想をみっつ
① 仕事をする上での普遍的なテーマなので、エンジニアだけでなく、他の職種の人にも役立つ内容である。たくさんのビジネスマンに紹介したい。
② ボンブ氏の過去の失敗や苦い経験、仲間や先輩からの言葉がベースになっているので、同じ経験をしている多くの人は共感することがたくさんあると思う。逆にエリート街道まっしぐらの自信家の上から目線野郎には響かないだろう(読者層ではないので関係ない)。
③ エンジニアらしく、過去や現状、現実を大切にしている。良くある未来志向のイケイケな教訓は一つもない。これは、未来だの、成長だの、変革だのとイケイケなことばかり発信している自分に対して「そればかりでもダメだよ」と警鐘を鳴らしてくれたように思えた。
▶︎ 番外編
番外編として、特に自分が印象に残った教訓や情シスのマネージャーとして実業務で是非実践したいと思った教訓をリストアップした。
1.7 正しいモノサシを持つ
1.9 頑張ったから良い評価ではない
1.10 不満を垂れる前に行動を
2.7 怒っているのではなく、困っている
2.8 綺麗な格好ではなく、似合う格好を
2.10 自分の時間、他者の時間
3.3 大きさは2倍、早さは半分
3.7 基本はみっつ
4.3 点で捉える
4.8 偽りのフルスタックエンジニア
5.1 模倣から始める
5.9 手取額10%
6.8 無駄な時間?私には必要です
6.9 ヒトは1週間、モノは1ヶ月
7.2 チームワークはメンバーから始まる
7.5 誤った協調性
7.8 違和感を大切にする
8.1 やはり銀の弾などなかった
8.9 顧客の声は誰のもの
8.10 マネジメントとメンバーの兼任
9.2 休日に勉強はするべきか
9.6 ワークライフバランスの幻想
10.1 成長による停滞、成長なき後退
10.6 転職の葛藤
10.8 独立という考え
10.10 未来よりもイマを大切に
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