【ボンブの戯言】フリーランスの実態調査をITエンジニアフリーランスの視点から見てみる

ホンブの戯言3回目です。

一度フリーランスネタから離れよう思っていましたが、ボンブの戯言2回目「【ボンブの戯言】ITエンジニアがフリーランスになる理由」の説明の際に用いた「フリーランス実態調査結果」の資料が面白かったので、ITエンジニアでフリーランスをしている私の視点から見てみることにしました。

今回用いる資料

内閣官房日本経済再生総合事務局が令和2年に公開した「フリーランス実態調査結果」を見てみます。

 

上記の資料は、政策会議「全世代型社会保障検討会議 第9回」の配布資料になります。議事録も公開されていましたがフリーランスの働き方のガイドライン策定に用いられたようですね。

 

実態調査に用いたサンプリング数も9000と多めでした。

 

こういったフリーランス向けの調査は珍しいことではなく、有名どころではフリーランス協会が発行している「フリーランス白書2021」などがあります。サンプリング数が少なくかなり細かいので今回は用いませんが、ご参考までに。

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000041.000023588.html

 

フリーランスとは、ITエンジニアのフリーランスを指したものではなく、IT以外の分野も含めたフリーランスという働き方全員の調査結果であることにご注意ください。

本記事は、調査結果に対してITエンジニアのフリーランスという観点から、好き勝手綴っていきます。

 

フリーランスの年齢構成

フリーランスという全体でみると、50歳以上で半分。40歳以上で7割と占める結果となっています。IT業界だけでみると、若い世代層がもっと増えそうなきがしますね。ITエンジニアのフリーランスでは、30歳代~40歳代が一番多いような気がします。

ITエンジニアで50歳以上となると、法人化をして拡大路線をとっている、会社員として再就職しているイメージが強いです。

 

フリーランスという働き方

「自分の仕事のスタイルで働きたいため」が6割を占めています。第2回目の戯言でも述べた通り、ITエンジニアがフリーランスを目指す理由もこの割合が多いと感じます。

https://itenginner-matome.net/archives/35373

 

「仕事上の人間関係」に対しての満足度が非常に高くなっています。また、ITエンジニアのフリーランスの勧誘で年収が高くなるなどといいますが、収入の満足は一番低くなっています。

私の周りでも満足度に関しては収入よりも、挑戦や達成感、働き方の自由度を上げる方が多いように感じています。

なお、私がフリーランスとして満足している部分は、プライベートの両立です。

 

障壁に関しては、収入が少ない・安定しないです。ITエンジニアでフリーランスをされている方、また私も含め収入の安定が一番の障壁だと感じています。

これは仕事の取り方、契約の仕方にもよりますが、月数百万の売上があるときもあれば、0円近いときもあります。会社員のように毎月ある程度決まった額が手に入る、賞与があるなどは非常に羨ましく感じる部分です。

こういったお話をすると「月に数百万もあれば余裕じゃん」「SESとかの常駐なら100万円近くもらえるんでしょ?」という反論もいただきます。

でも、考えてみてください。

フリーランスの手に入れるお金は、自分のお金ではなく売上です。ここから経費・税金・社会保険料分の支払いしなくてはいけません。また、今後決まって契約(仕事)が取れるとは限りません。仕事がなければ、無収入です。コロナがいい例ですが、かなりの案件がドロップ・リスケすることが多発しました。

仕事がなければもちろん売上がない。売上がないので収入もない。当たり前のことですが事業がうまく回っていないときは非常に不安になります。

 

フリーランスとしての年収

収入は200-300未満と非常に低い水準です。ここでは、売上から経費を引いた所得額を年収として扱っていますが、それを鑑みても生活するのに下手をすると困窮してしまう額ではないでしょうか。

この設問における「年収」とは「事業としての収入(売上高)ではなく、収入(売上高)から必要な経費等を差し引いた所得の額であって社会保険料及び税を差し引く前の額」を指す。

 

ここで面白かったのは、フリーランスの世帯年収を見てみると1000万以上が10%と非常に高い値になっています。雇用者同様、フリーランスの場合でも家族はとして世帯年収をあげていることがわかります。

 

なお、私の周りのITエンジニアのフリーランスは男が多いですが、妻は専業主婦というパターンが非常に多いです。一馬力で稼いでらっしゃるんですね・・・・すごいです・・・・。

 

 

フリーランスの就業時間・就業日数

就業時間と就業日数を見てみます。会社員のように1日8時間、月20日働いている割合は低いように見えますが、調査対象に副業のフリーランスも含まれているためと思われます。これを見て、フリーランスは労働時間が少ないんだ!とう誤解をしないようにしましょう。

私の知る限りITエンジニアのフリーランスで年間売上1000万以上稼ぐ方は、サラリーマンと同等以上に働いています。

 

フリーランスという働き方の継続意思

フリーランスの働き方の継続意思ですが、こちらは続ける方が80%弱と非常に高い水準です。事業が1度安定する、フリーランスとしての案件の獲得方法が確立する(人脈などの繋がりできるなど)すれば、フリーランスを継続したいと思う方が多いように感じます。

会社員に戻りたいという方は、「売上が落ちて生活が出来なくなった」「フリーランスの多忙さと年収が見合わなくなった」「コロナなどで仕事がなくなった」などのタイミングで戻っていく方が多い印象です。

 

フリーランスの取引先

フリーランスの主な取引先は事業者(個人事業主や法人)となっています。これはITエンジニアでも同じ、というかITエンジニアで考えると9割以上に上るのではないでしょうか。

自分でサービスを作るなどしても、ITエンジニアという職業柄コンシューマを対象とした取引はかなり少ないと思われます。

 

取引先社数は1社が40%です。おそらくITエンジニアのフリーランスでも似た結果が出るのはないかと考えております。

フリーランスの働き方の限界としてあるのが、複数社の取引先があっても仕事を回しきれないことです。事業の安定という観点では、複数社の取引があるのが望ましいのですが、フリーランスの場合、仕事を受けられるのは自分1人です。いくら案件数があろうとも同時並行できる量には限りがあるため、1社~2社程度で取引社数を絞っている方が多い印象です。

ITエンジニアのフリーランスが、法人化して事業拡大を模索するときも、取引社数(案件数)の増強とそれに見合う人材のバランスに苦慮しているお話はよくお聞きします。

 

続いて、取引先の会社の規模です。フリーランスが取引を行う会社規模として資本金1000万円以下との取引が90%を占めています。

こちらはITエンジニアのフリーランスでもあまり変わりないのではないでしょうか。企業規模が大きい(資本金が多い)会社さんというのは、基本的にフリーランスと口座を開かない(取引をしない)パターンが多いです。

企業規模が大きくなると、取引を行うための線引きが高くなるためです。失敗時の賠償範囲やトラブル時の人員補充のリスクを考えると、フリーランスと直接取引するのは、リスクでしかないですよね。稀に信頼関係が高かったり、特殊な技能や経歴などから、取引が行われるケースもありますが、レアケースと考えるべきでしょう。

発注者とフリーランスの間に商流を作る会社さんを、搾取と揶揄するお話もありますが、こういったことも踏まえると、そういう会社さんがいるからこそ私たちフリーランスは仕事にありつけるとも考えられます。

将来的には、フリーランスの立場からのセーフティネットを拡充して、大規模な会社さんもフリーランスをメリットとして活用できる土壌ができればとは考えておりますが、なかなか先は長そうです。

 

フリーランスの業務従事状況

次は業務従事についてです。意外と指示を受けてる方が多い印象です。指示を断ることができないなども含めると6割程度を占めています。

ITエンジニアのフリーランスでも、SESなどの常駐案件に入っている方はこのパターンが多いのではないでしょうか。

契約内容によりますが、フリーランスだから自由とはならないことがよくわかります。

 

取引先とのトラブル

フリーランスのトラブル経験については、4割となっています。私は事前にトラブルを回避するようにしているので、まだあったことがありませんが結構いらっしゃいますね。

 

トラブルの内容は発注内容や支払いに関するものが多いですね。フリーランスにお仕事を発注する内容は、そこまで細々とした内容がおおく企業さんも自転車操業されてるようなことも多いので、致し方ない部分かなと思います。しかし、報酬内容や業務内容については、フリーランスのあなた自身が回避できる(というよりも回避しなければいけない)領域かと考えます。

何も考えずに、仕事が来た!受注だ!と考えるのは非常に危険です。

 

トラブルがあった際に、受け入れるのが非常に多いです。でも、これってフリーランスだからじゃないですよね?会社員をしていても、会社規模で考えると、トラブルも引き受けて解決するパターンが圧倒的に多いと思います。

会社規模の場合、同僚の力を借りたり、会社の利益(もしくは内部留保で対応)を犠牲にすることで回避できるパターンが多いですが、フリーランスの場合はそれが難しいことは念頭に置いておきましょう。

 

契約に関する書面での確認が不十分。これもフリーランスあるあるかと思います。B2Bの大規模契約では、正式な契約書を交わすのは当たり前です。しかし、フリーランス相手だとすべてにおいて、それを行うのは手間だという考えも納得できます。

そんな場合は、フリーランスであるなら自分自身から確認をしましょう。契約書や書面でなくとも、メール本文で確認をすればいいのです。

 

 

仲介事業者の利用状況

仲介事業者の利用状況です。ITエンジニアのフリーランス向けの仲介業者もよくありますよね。〇〇エージェントとかよくついています。ツイッターをみてても良くツイートが流れてきます。

利用状況は2割強とやや少なめな印象ですが、ITエンジニアのフリーランスを対象とするともっと多いのはないでしょうか。エージェントを使って、仕事は尽きないと安心されている方もいらっしゃるように感じます。トラブルは50%とやや高めです。間に1社はさむことで意思疎通や合意がしにくい当たりが高い原因かと考えます。

仲介事業を利用するメリットは、自分で営業をしなくてよいなどもある反面、こういったトラブル率が高くなる、マージンがひかれるので安くなる、今後の仕事の取り方を仲介事業者ありきになってしまうなどのデメリットもでてきます。

フリーランスという形態をといっているのであれば、そこも考慮してうまく利用していきたいですね。

 

さいごに

今回は、資料をみつつせっかくなので、戯言にしようと思い立ちつらつらと駄文を積み重ねました。

私は、フリーランスになる前よりも、フリーランスになってからの方が、不安や周りはどうしているんだろう?という気持ちが強くなり、こういった調査資料を漁る機会が増えたように思います。

しかし、フリーランスで多忙になると、落ち着いてこういった資料を見る時間がとりにくいにも事実です。フリーランスを目指す方は、フリーランスになる前にこういった第三者視点からの資料に目を通し、自分ならどうするか・今後どうしていきたいかを考えていただければと思います。

 

 

 

 

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