まずこの本は無能が有能になるためのハウツー本ではない。したがって購読したところで劇的に技術力が上がり、仕事ができるようになるわけでもなく出世しまくって稼げるようになるわけでもない。ではこの本は我々に何を提供してくれるのか?
ざっくばらんにいえば「無能が無能らしく生きていくために、頭に留めておくとちょっと助かることがあるかもよ?」的な内容が網羅されているのだ。
人はどうしても輪廻転生モノアニメのように一発逆転を夢見て、世の中に蔓延る情報商材に手を出してしまうことも少なくない。しかし、情報を得たところで有能になれるような吸収能力や実務に適応する応用力が備わっているのであれば、既に今の職場でも一定の評価をされているのではないか(そもそも有能)。
本書に書かれている内容も一見するとビジネスマンとして”当たり前”のことが羅列されているように思える。
ただ自分自身または職場を見渡してみてこれらの事項が定常的にできている組織、人物がどれほどいるだろうか?おそらく出来てない人がほとんどではないかと思う。
具体的には特に、Ⅱ章のコミュニケーション、Ⅵ章の時間管理の考え方などはひょっとしたら新卒研修で教わった人もいるかもしれないが、今一度年次が経ったときにできているか読みながら振り返ってみることを勧める。
また本書のターゲットとして若手やメンバークラスを想定しているが中堅やリーダーになりたてでマネジメントに頭を悩ませている人にも併せてお勧めしたい。 立場が違えば大事とする事や優先順位も異なるため、小さなすれ違いがつもり、メンバとの関係性が悪くなったり、進むべき方向性を見失いがちになる。 そういった際にⅡ章やⅧ章の内容はその道しるべの一助となるかもしれない。
最後に重ねてになるが、特別な内容は何一つない。ただその所謂「普通」をこなすことがいかに難しいか、無能が無能らしく生き残るためにはそれらを認識したうえでいかに現実でもがいていくか、それを改めて認識させてくれた本である。
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